FLコストとは何の事か

よく耳にする言葉に「FLコスト」というものがあります。これは原価と人件費を合わせた経費です。
F = food(フードコスト) / L = labor(レイバーコスト)

この合計経費を基本の教科書的な数字では、売上高の60%と言われています。例えば月間売上が100万円であった場合、60万円程度に抑えましょうという事になります。
単純に原価を30%とすれば、仕入れも人件費も30万円ずつである事が望ましいと言えます。この人件費には社員分とアルバイト分の合計値で計算していきます。店主一人とアルバイト一人で経営する場合、店主25万円、アルバイト5万円なら30万円です。

単純に考えると、残りの40%で賃料、光熱費、消耗品、交通費、通信費、機材等材料費、リースを支払っていきます。残った分が当月営業利益となります。
では、それぞれの配分の基準はどうでしょうか。大抵賃料は10%程度、光熱費7%その他経費15%程度で考えられ、利益水準は概ね5~10%となります。

飲食店は儲からないジャンルと言われがちですが、儲けているお店はどのようにこの経費配分を行っているのでしょうか。
まずはFL値を55%以下にもっていきます。そのために出来ることは、セントラルキッチンで一斉調理し、現場では盛り付けを行います。そのため社員数を減らしアルバイト人員で回転させます。
その他、宣伝や求人等も本部で一括して行い、各店舗には徹底した経費管理と売上バランスを保たせるように管理していきます。そのため営業利益は、15%を超えてくる事もあるでしょう。
そこで次店舗への開業資金に回すか、役員報酬として社員に還元するか。この先の動きは経営者の考えにより様々です。

逆に一人または家族で切り盛りする個人店は、人件費(本人以外)や求人広告費がない分、材料を少し高めにしてクオリティの高い食事を提供する事が可能になります。つまりFLコストを30:30ではなく、35:25などに調整できるというわけです。薄利多売方式のお店では、最低売上目標もあるために徹底した管理が行われがちです。
どちらの経営が向いているかと言うと、地域性などにもよるでしょう。若者がたくさん暮らす街では、小料理屋さんより宴会が出来る気軽なお店が流行るでしょう。逆にビジネス街であれば共存も可能で、閑静な場所では静かに食事を楽しむ料理屋さんが向いていると言えそうです。
開業する立地や人の流れ、街と調和した営業方式があり、その上でどのようなお店を目指すのか。数字はその現場に合わせて流動的に考える事が重要です。数字で営業するのではなく、数字を見つめながら考えて営業する事で健全な飲食店運営が可能となります。

「お店の運営は現場主体か事務主体か?」とコンサル意見を求められた場合、私はいつも答えることが決まっています。
現場を重視すると利益が圧迫され、事務を重視すると現場のコストパフォーマンスが甘くなります。現場を見ながら数字をコントロールする、あるいは数字を把握した上で現場をコントロールする。この対局した二つのポジションのバランスが程よい部分を見つけ指摘し実践させる事が会社としてできますか?つまり、私の考えを現場で実践あるいは支持できる会社のスタッフ(正社員)はいますか?と逆質問します。
結局は現場力(接客力・対応力・技術力・モチベーション)がなけれ、ば私のような者が数字をたたき出して集客を図っても、それはただの机上の空論マネジメントに過ぎないのです。

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